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どうも今回はコンピレーション・アルバムが多くなってしまいました。
マグレブのアーティストがソロ・アルバムを出すのはとにかく大変なことで(現在、
ハレドが苦しんでおりますが…)、
この際いろんなジャンルのアーティスト同士で協力し合って、新しい音を作り出すこ
とというのが現在のフランスの
マグレブ音楽市場では主流になってきてます。ま、こっちのほうがたくさんのアー
ティストがいっぺんに聞けて
聴く側としても有り難いですが、とにかくいろんな人が参加しすぎて、わけがわから
なくなってます…。
ヒップ・ホップやR&Bとのコラボにより、アラブの独特なアクやドン臭さが抜けて聴
き易いのですが、
やはりこの手の音は飽きが早いですから、雲行きが怪しいかな…という気もします。 |
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■1位 RACHIDA 『AAR' RABI(創造主の加護のもとで) 』
リミッティをプロデュースしているガーファイチ氏が見出したオラン出身のラシダの
アル
バムが日本盤で登場。ライ研究家、粕谷祐己氏による該博な解説付。
ライ・ピュールに敬意を示し、そしてモダンスタイルをも見事に融合させたアルバム
で、
すぐさまリミッティの「Nouar」を思わせます。
最近この手のライのアルバムがリリースされてなかったので、本当(!)のライ・
ファン
にはうれしい一枚です。 |
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■2位 『RAI'N'B FEVER』
パリ発、ライとリズム&ブルースのコラボとなるアルバムがフランスで大ヒット中。
フラ
ンスのR&Bを代表するWilly DenzeyやLeslic、ヒップ・ホップ界からは113、ライから
は
総勢たるメンバー(Mohamed Lamine, Faudel, Khaled, Tarik, Cheba Maria,
Rimitti
etc…)が参加した強烈なコンピです。今回改めて感じたのははフォーデルの才能。
ソウ
ル調なノリを絶妙なリズム感で歌いあげ、その他の ライ歌手との差をつけていま
す。や
はり彼はBeur的センスを抜群に持ち備えた歌手なのです。 |
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■3位 『Yallah ! Yallah !』
音楽評論家、サラーム海上氏による監修でインド、パキスタン〜中東までに及ぶオリエン
タル・コンピ。最近はDJの仕事でも駆けずり回っているサラーム氏ならではのビー
トの効いたダンサブルな曲が中心です。最近人気のベリーダンス・ファンにもうれし
い、ありそうでなかった一枚。胡散臭いインド&アラブ歌謡が、ここまでクールになってし
まうのだ!と言わんばかりの選曲です。あなたも濃厚なエキゾな旅にヤッラー!! |
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■4位 RABAH du MBS 『Rabah president』
アルジェリアの一番人気ラップグループMBSのメンバー、RABAHのソロ・アルバム。
MBSと
言えば、アルジェリア特有の重々しいテクスト。今回はまさにポリティークに向け
たもので、政府の陰謀や矛盾、国民や特に若者の意見を無視することを糾弾したアルバム。自分が大統領選に立候補し、そしてアルジェリアの様々な問題を改善していきたいというような意気込みです。さすが、やるレベルが違いますね…。唯一「LA VISA LA EURO」という曲では、ライ風アレンジで安っぽいシンセが活躍してて、何故かホっとさせてくれます。 |
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■5位 『Maghreb en Fete』
マグレブのお祭りに合わせて選曲された2枚組のコンピ。とにかくどれも派手な曲、マグレブの(主に都市派の)結婚式では定番になっている曲ばかり。シャアビ、ライ、スタイフィ、ベルベル系(カビリー)などなど。タイトルに「Laaroussa」という言葉が多いですが、「花嫁」という意味です。この1枚で何日間でも踊り続けてしまうのでしょうね…。 |
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■6位 RIM'K 『L'ENFANT DU PAYS』
今、パリで話題のコンピには必ず登場してくるラップ・グループ、113のメンバーであるRIM'Kがソニーからソロ・アルバムをリリース。ヒップホップの雑誌には「今、世界で最も主要なラップのアルバムと言える」と絶賛され、「イスラミック・ラップ」というジャンルが確立しそうな勢い。(どうもワールドトレードセンターに触れた曲は発売時には
カットされていたらしい)「DES 2 COTES」にも収録されているfeat.ゼウアニア の「RACHID
SYSTEM」やfeat.ハレドの「L'ENFANT DU PAYS」が収録された濃い内容です。 |
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■7位 『DES 2 COTES』
フランス発ライのトレンドとなりつつあるライとヒップホップの混交たるコンピ。パリで大活躍しているマグレブ系のDJ KIMとDJ GOLDFINGERSによるプロデュースです。ヒップ・ホップ界からはお馴染み113, Freeman, Rim-k, Kery James, Jacky Brownなどが参加。ライからはCheb Khalass, Zahouania, Cheb Aziz, Cheb Ghazi, Cheb Hassen,
Cheb Akil, Fadelaなど「RAI'N'B FEVER 」には参加していない個性的な歌手ばかりが目立ちます。 |
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■8位 『PARIS BARBES TOUR』
5月28〜30日までパリのCabaret Sauvageで開催された「BARBES TOUR FESTIVAL」は今年で2回目。マグレブを中心としたミュージシャン達が100組近く参加し、聴衆約
15000人を集める大規模なイベント。このイベントの参加アーティストを27タイトル集めた2枚組みコンピです。とにかくアフロでクールな音が聞きたい!あまりライは好みじゃない!って人にはお薦め。 |
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■9位 Morockin 『One World』
モロッコ、メクネス生まれのアミール・アリを中心に結成されたバンド、モロッキンの
2ndアルバム。アメリカ育ちのセンスを培い、ハレドの「Trik Lycee」や「Aicha」、その他お馴染みのアラブ歌謡をジャズ、ファンク、ポップ・アメリカン、ブルース、ヒップ・ホップ感でアレンジ。(1stアルバムも「Didi」Abde Kader」「Yarayah」などをカバーしています)モロカン・コンテンポラリー・ミュージックとも言えるアルバムです。ハレドのコブシやラシッド・タハのロックに疲れた人にはいいかも。 |
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■10位 Nawal El Zoughbi 『EYNEIK KADDABIN』
久しくレバノン歌謡をチェックしたところ、ナワル様のニュー・アルバムが人気なようですよ。化粧もパーマも強くなって、ちょっと見ない間にだいぶ変わってしまってましたが、中身はいつも通りのベタな感じの曲、いわゆる正統派アール・ジールばかりです。マグレブのミュージシャンのように中東ポップスは「はっ」と思わせる変化がないのはいいのか悪いのかってところですね…。 |
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