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旅の途中、子供にしろ、大人にしろ、皆が口々に「〜をちょうだい」と言って寄って来るのがうるさく思えてしまうことがあります。
それは1DHだったり、たばこだったり、時にはボールペンだったり。
けれども元気に話しかけてくるその多くは「ちょっと外国人に話しかけてみよう。運が良ければ何かくれるかも!」といった程度のものです。
子供なんか特に、どちらかといえば習いたてのフランス語が本当に通じるかどうかためしてみたいだけ。「1DHください」と言ってもらえたら、オレのフランス語が通じたってことさ!なんていう程度にすぎないことも多いので、もし1DHもらえたら、その1DH玉をにぎりしめて、いつもお母さんが買ってくれない「あのおやつ」を買いに行こう!と、喜びいさんで走り去って行くかもしれません。
暑さや疲れでぐったりしているときは本当につらいのですが、相手も人間。ゆったりかまえて自分にできる言葉で(日本語だっていいんです!)あげられないよ、と言ってあげればなんとかわかってくれるもの。
私の経験では、そういった人の多くが、お金は持ってないとか、今話はしたくない気分なの、またいつかね、などと声をかけたあとで先を急げば、しばらくはついてくるものの、そんなにしつこくついてくることはありません。
逆に初めから無視したり怒鳴ったりすると、彼らはよけい興奮してしまうから、相手がどんな人であれ、まずやはりきちんと対応することが気持ちよく旅を続ける秘訣なのかもしれません。
私も初めてアフリカを訪れたとき、その圧倒的な貧しさに驚き、はたしてお金やものをあげるのが優しさなのか、そんなのは卑しいことだ、と突っぱねて過ごすのが正しいのか正直かなり迷いました。当然疲れたときでも容赦なく訪れる「なんかちょうだい」攻撃にイライラしたりもしましたし。
そのあげく、なにかをあげたことで「あげる必要はない」といわれたこともありますし、あげなかったことで「どうして助けあわないの?」といわれたこともある。
けれどもいろんな国を見てまわるうち、その「ちょうだい」「ください」というセリフがその国の人々とのコミュニケーションの貴重な一歩となりうるのだと気がついてから、旅は数段気楽になりました。
貧乏に同情したくなければ、何か仕事を頼んでみればいい。
それはもしかすると彼らに仕事をする事の大切さを教えるかもしれないし、自分にも出来ることがあることの発見になるかもしれない。
お金を下さいと訴える人がいたなら、その話に耳を傾けてみればいい。
そうすればその国の抱える問題の一つに触れることができるから。
「また”ギブミーチョコレート”か」
そのセリフで追い払ってしまう代わりに、せめて「なにもないよ」とか「あげられない」と一言いってみてください。空っぽのポケットを見せながらちょっと一緒に遊んでみるだけで、子供達の笑顔が立ち去る後ろ姿をきっと見送ってくれるはず!
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