文化編05:モロッコ料理と作り方
犠牲祭がやってきた ケフタのタジン


 
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モロッコの調理器具とスパイス

モロッコの料理には実にいろいろな道具やスパイスが使われています。
けれどもモロッコ料理は、「スパイス」という単語から想像されるような辛くて強いくせのある料理ではありません。
このサイトで御紹介している料理を作るのに必要なアイテムを中心に、モロッコで使われるスパイスの数々をまとめてみました。

調理器具
■ タジン タジン
モロッコ料理に使う鍋がこの「タジン」と呼ばれるお鍋。 この鍋で作られる料理をタジン、と呼ぶので、モロッコ人が料理を作ると、圧力鍋(ココット)で作られたら「ココット」、鍋(ガメル)で作られたら「ガメラ」と呼んでいたりするのでした。
一人用サイズの小さなものから、4〜5人用の大きなものまで。壊れやすく重たい事が理由で日本でこの鍋はなかなか手に入りませんが、日本でモロッコ料理が作りたい場合、なるべく厚底の鍋か、土鍋をつかって調理します。また、ル・クルーゼ社からは鋳物のタジンも販売されているので手に入れば利用するのも一つ。

  ■ クスクシエール クスケス
クスクスを作る時の二段重ねの鍋。下でソースの部分を作り、その時の蒸気でスムール(クスクスのつぶ)を蒸す、という構造になっています。
田舎では現在も素焼きのクスクス鍋が使われています。

  ■ ココット ココット
圧力鍋。ゆっくり時間をかけてタジンを作る時間がない時に使います。この他、サラダを作ったり野菜に火を通したり、モロッコの日常では非常によく使われます。

  ■ グサー
モロッコではパンも家庭で準備することが多いですが、生地をこねる時に使うのがこの大きな素焼きのお皿。クスクスを盛りつける時にもよく使われます。
 
  野菜
モロッコでは季節ごとに実にいろいろな野菜が登場します。日本では野菜が高いので野菜たっぷりの食事はごちそうですが、モロッコでは野菜がとても安いので(安いと感じるのは野菜くらいなもの、とも言えますが)安心してたくさん使えるのがうれしいところ。
料理に欠かせない野菜をご紹介。

  ■たまねぎ ブスラ
モロッコ料理には欠かせない野菜の一つ。一般的なのは赤たまねぎの方で、モロッコでは白たまねぎよりも価格は安いです。
赤たまねぎは白たまねぎに比べて味が強く、かつ煮崩れしにくいのが特徴。

■コリアンダー コスボール
これもまたたまねぎと同様、調理の時にダシとして非常によく使われる他、サラダなどにも細かくきざんで混ぜられます。
根元の方が香りが高いので、そこまでしっかり使います。冷凍する時には、細かくきざんだ後、モロッコ人はさらにすりばちのようなものでつぶしてから保存します。

 
  スパイス類
スーパーでは袋詰めにされたスパイスが売られているけれども、やはりスークのスパイス屋さんで挽いてもらったスパイスの香ばしさにはかないません。知人のコックさんにも、モロッコから帰国時のお土産に、クミンとサフランを頼まれるくらい、味わいもなかなかのモロッコスパイス。
使い方と料理の中でのどんな味わいになるのかという役割さえわかれば、料理の味わいがかなり深まります。

■クミン ケムン
モロッコ料理に一番よく使うスパイス。
街角の屋台やレストランなどでも、炭火で焼いた羊の肉に、このクミンと塩をかけて食べたり、ゆで卵もこのくみあわせで食べたりするくらいモロッコ人にはとてもポピュラーなスパイス。旅から戻れば、この香りをかぐたびにモロッコを思い出すようになるかもしれません。料理の時には、入れ過ぎると逆にこのスパイスの持つ香ばしさが弱くなってしまうので気をつけましょう。
またこのスパイスには殺菌作用があるようで、モロッコではサラダで食あたりしたりすることのないよう、ツーリスト向けにはさらにしっかりかけるようにしているようです。

■パプリカ フェルフェラ・タメラ
これもまた料理に良く使われるスパイス。
モロッコでは辛い味のするもの(フェルフェラ・ハール)と辛くないものと二種類ありますが、いずれも料理の味にコクを出してくれるスパイスです。

■ターメリック ハルコム
鮮やかな黄色がとてもきれいなスパイス。
モロッコ人は「色をつけるため」に入れるのだと言いますが、これはショウガの仲間ですからやや苦い味のするスパイスです。
あまり特徴がなさそうだからとごっそり入れてしまうと、料理が苦味のあるターメリック味になってしまうので気をつけましょう。

■ジンジャー スクンジュビール
ショウガを粉にしたものです。においも味も強烈なので、使う時は量に気をつけて、すこしづつ入れるのがいいでしょう。
隠し味に少し入れると、味がひきしまって感じられるので、少量ながらよく使われるスパイス。魚のタジンの時には魚の臭みを消すために、たくさん使われます。モロッコ料理の味付けの、影の引き立て役。

■シナモン カルファ
粉状のものと、棒状のままのものがあり、用途によって使い分けられます。
モロッコでは、特にデザートやお菓子等でたくさん使われ、スライスしたオレンジにふりかけて出せば、それだけでモロッコ風デザートの出来上がり。
シナモンを使うように書いていないレシピでも、ほんの少し足すだけで、味に奥行きが広がります。
 
  ちょっと特別なスパイス
  ■食紅
モロッコ人に料理を習うと「サフランを入れて…」と、さらさらとこの粉を入れるのをよく目撃します。料理のおいしそうな色を出すために、モロッコ人にとっては欠かせないのがこの色も見事な食紅。
料理に彩りと香りを加えるサフランはとても高く普段使いにはできないので、かわりに食紅が使われます。ただ、何か味に変化が出るわけではないので、日本人的には別に入れなくてもいいでしょう。

■サフラン ザフラン
御存じのとおりとても高価なスパイス。
モロッコでも品質の良い物は1グラム13DH〜。モロッコでは未だに農薬を使わないで栽培されており、それは世界でも稀になりつつあるということです。
クロッカスに似たこの花のめしべがを乾燥させたものですが、これは日が出てすぐにつんでしまわないと鳥に食べられてしまうということで、収穫もなかなか大変です。
モロッコでは主にその黄色の色を出すために使われていますが、独特の味があるので、鍋の中にひとつまみも入れるとどことなくサフランの味がしてきます。 しかし庶民はもはや使わないスパイスなので、モロッコの一般的な家庭料理やレストランの味を舌が覚えてしまっていると、サフランの味は慣れない我々の舌には変な味?と思えてしまうかも。
モロッコでは、ミントの代わりにお茶に入れてサフランティーを作ったりします。

■「店主の頭」 ラス・エル・ハンヌート
メディナの中に分け入れば星の数ほどもあるスパイス屋が、それぞれ独自の調合で作っているスパイスが、フランス語で「tete de magazin」と呼ばれています。
このページではこれを使った料理は紹介していませんが、いろいろな料理向けに、各店それぞれの秘伝でとてもいろいろな種類があって面白いので、利用法等も聞いて、手に入れてみてもおもしろいかもしれません。
 
犠牲祭がやってきた ケフタのタジン

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