旅の情報編04:モロッコ人とくらし
2つの通貨・ディラハムとレアル 正しいハマムの入り方


 
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生活の中のヘンナ

なぜヘンナをつけるのか
女性なら、モロッコ滞在中に声をかけられたりトライしようと思ったりすることが一度はあるだろうヘンナ。
モロッコではどんな時にされるものかというと、主に結婚式の時。
結婚式の多い夏場に手足にくっきりと細かい模様をつけて歩いている若い女性をみかけたら、十中八九、新婚さん。

この習慣はモロッコだけでなく、その他のイスラム諸国やインドなどでも姿や形をかえて行われており、これは本来おしゃれや趣味で施されるものではなくて、魔よけの意味をこめて施されるおまじないのようなものなのです。

さてこのヘンナ、一体どんなものなのでしょう。
まるで抹茶のような緑色のこの粉は、ヘンナの木の枝についた小さな葉を乾燥させてすりつぶしたもの。これに水をまぜて手や髪につけ、独特のオレンジ色に染めていくのです。

この植物の原産地は北アフリカ、西南アジアといわれ、高さ3〜6メートルの低木。小さな白い花をさかせ、そこから香油も採れるということ。
イスラムの世界ではこの植物は天国に咲いている花とされていることから、これで模様を描く作業には魔よけの意味が込められるのです。

そんなことから、これを手足に塗る作業は結婚式では第一日目。
モロッコでは花婿側が、花嫁側に砂糖や羊といっしょにヘンナの葉っぱも結納金のような形でプレゼントするのが慣例ですから、結婚式に参加することがあれば、砂糖や羊なんていう結納の品々のどこかに、きっとこのヘンナの葉っぱを見つける事ができるでしょう。

田舎などでは特別なことがなくても、手のあれや乾燥の緩和にいいという理由で、お年寄りを中心に、今でも手のひらにべったりとつけている人をわりと良くみかけますし、ハマムでは、サヴォンビルディという練り石けんにヘンナの粉をまぜ、トリートメントにもしますし、ヘアダイとして使うと、染色効果だけでなく、髪の毛に輝きを呼ぶトリートメントともなります。

モロッコ人の中には、この植物にはなんと病気などに対する耐性?みたいなものもあって、それで手足を染めることは、村人にとっては抗生物質のような役割もあるのだと説明してくれる人もいます。
■ 男性は模様を描くのではなくて、清めのためにヘナで手足を洗います。   ■ 田舎ではこうして手のひらにべったりと。手荒れから肌を守ります。

 
  ヘンナの使い方と描き方
都会、あるいは結婚式で用いられているヘンナは、小麦粉のようになった粉末状のもの。
それをローズウォーターや紅茶、レモンのしぼり汁、普通に使うぶんには水で溶いてペースト状にし、注射器につめて細かい模様を描いていきます。
一方、田舎で使われているものは、都会のスークで売られているような抹茶のような粉末などではなくて、葉をそのままスパイスをすりつぶすのと同じ道具で細かく砕き、粉とはとてもいえないようなさらさらの葉っぱのくずのようなもの。模様を描こうにも粉が荒すぎて、細かい模様は描けません。

ですから田舎などではきれいな模様に描かれた手足は、「まあなんてきれい!どこで描いてきたの?」とちょっとしたあこがれの元。そう。この細かい模様を描く作業は、粉を小麦粉のように細かくする技術が完成し、注射器というものがプラスチックになって手に入れやすくなってから発達した比較的新しい技術なのです。

ヘンナの正しい定着のさせかたはまず、手足に模様を描いてしまい、それが乾燥したところで、レモンやコショウ、ニンニクを混ぜた濃い砂糖水を接着剤がわりにトントンとパッティングさせること。
けれどもここまでの手間は結婚式でや、丁寧な作業を申し込んだ場合などの時にしかかけません。

砂糖水が乾燥したら、乾いた粉をぼろぼろとこすり落とし、一番いいのはそのまま眠ってしまうこと。水で洗わずそのままにすることで植物のエキスが肌にしっかりとしみ込んで行き、黒に近いオレンジ色のあざやかな模様を長いこととっておくことができるからです。どこかで描いてもらった模様を長もちさせたかったら、できるだけ長いこと粉をつけたままにすること、そしてはがした後も、できるだけ洗わないでおくのがベストです。
■ 結婚式での一コマ。花嫁はレースのようにきれいな模様を描きます。   ■ 作業中はじっとしていなくてはいけないので、実はちょっと疲れます。
 
  ヘンナをする時の注意
ところでこのヘンナという習慣。
めずらしさも手伝って一度は試してみたいものですが、本当に美しい模様が描けるプロというのは、路上や観光地で営業したりしていることはほとんどありません。なぜなら結婚式やお金持ちの家庭に出張することでしっかり稼げてしまう技術だからです。観光地に出没している人達のテクニックはちょっと模様を描いてもらうには十分なのですが、残念ですがモロッコのアートの一つとして楽しむにはそんなに高いレベルではありません。
満足のいく作品に出会うのは、なかなか難しい事かもしれませんから、本当に細かいきれいな仕事に出会いたかったら、友達になったモロッコ人女性に聞いてみるのが一番です。

ところがそんなに苦労してまでやってもらおうと思うヘンナ、実はこちらが思っている以上に一部モロッコ人には評判がよくないという現実も。
女性は、「描いてもらってすぐはいいんだけれど、だんだん消えて行く姿が汚ないから好きじゃない」とか、男性には「あのにおいがたまらない!あれをつけた手で触られるなんて絶対にいやだ!」という人が多かったりするのが、私には意外な発見でした。

女性では「結婚式以来一度もしたことがない」なんていう人もいたりするくらい。
外国人的にはなんとももったいない気がしますが、かくいう私も、消えて行く姿の汚さと、つけた直後の強烈なにおいがいやだというその二つの意見、ひそかに同意しています。

けれども鮮やかな模様をつけた手は、モロッコ国内だけでなく、帰国途中のヨーロッパなどでも、出稼ぎのアラブ系の人を中心に、話題には事欠きません。仕事があるからとても、という方もありますが、腕や足などで試してみてはどうでしょう?
話すことも、そのきっかけをつかむことも難しいモロッコ女性との会話のきっかけにはもってこいかもしれません。

ただしこのヘンナも、肌の弱い方は要注意。
粘土状に湿っているヘンナが乾燥していく過程で、肌に刺激を感じることもありますし(ヘンナの粉の調合のしかたによるらしいのですが)、 冷え性の方だと気化熱で体温が奪われていくので、なんとも堪え難い冷え具合になってしまうことになりますので気をつけましょう。
 
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