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なぜヘンナをつけるのか
女性なら、モロッコ滞在中に声をかけられたりトライしようと思ったりすることが一度はあるだろうヘンナ。
モロッコではどんな時にされるものかというと、主に結婚式の時。
結婚式の多い夏場に手足にくっきりと細かい模様をつけて歩いている若い女性をみかけたら、十中八九、新婚さん。
この習慣はモロッコだけでなく、その他のイスラム諸国やインドなどでも姿や形をかえて行われており、これは本来おしゃれや趣味で施されるものではなくて、魔よけの意味をこめて施されるおまじないのようなものなのです。
さてこのヘンナ、一体どんなものなのでしょう。
まるで抹茶のような緑色のこの粉は、ヘンナの木の枝についた小さな葉を乾燥させてすりつぶしたもの。これに水をまぜて手や髪につけ、独特のオレンジ色に染めていくのです。
この植物の原産地は北アフリカ、西南アジアといわれ、高さ3〜6メートルの低木。小さな白い花をさかせ、そこから香油も採れるということ。
イスラムの世界ではこの植物は天国に咲いている花とされていることから、これで模様を描く作業には魔よけの意味が込められるのです。
そんなことから、これを手足に塗る作業は結婚式では第一日目。
モロッコでは花婿側が、花嫁側に砂糖や羊といっしょにヘンナの葉っぱも結納金のような形でプレゼントするのが慣例ですから、結婚式に参加することがあれば、砂糖や羊なんていう結納の品々のどこかに、きっとこのヘンナの葉っぱを見つける事ができるでしょう。
田舎などでは特別なことがなくても、手のあれや乾燥の緩和にいいという理由で、お年寄りを中心に、今でも手のひらにべったりとつけている人をわりと良くみかけますし、ハマムでは、サヴォンビルディという練り石けんにヘンナの粉をまぜ、トリートメントにもしますし、ヘアダイとして使うと、染色効果だけでなく、髪の毛に輝きを呼ぶトリートメントともなります。
モロッコ人の中には、この植物にはなんと病気などに対する耐性?みたいなものもあって、それで手足を染めることは、村人にとっては抗生物質のような役割もあるのだと説明してくれる人もいます。
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■ 男性は模様を描くのではなくて、清めのためにヘナで手足を洗います。 |
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■ 田舎ではこうして手のひらにべったりと。手荒れから肌を守ります。 |
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