旅の情報編06:モロッコ雑学教室
地名の意味 マラケシュ・名前の由来のむかしむかし


 
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マラケシュ・広がるヤシの木の秘密



モロッコ中部の平原地帯は、これといって大きな山も谷もなく、ただ広々とした大地がゆったりとどこまでも広がっている穀倉地帯の一つです。
畑には金色の麦が植えられ、かきねのように、実をつけるサボテンがその大地に境界線を入れています。

カサブランカからマラケシュに向かう道は、そんなのどかな光景がひたすら続くルートですが、その道も終わりにさしかかり、マラケシュの街のはしに入るそのころ、あたりの光景は突然雰囲気がかわってきます。
今まで平らな平原に時々あらわれていた白い家から、ようやく赤茶けた壁にやしの木が美しい、これがモロッコだよ、というイメージそのもののような景色が目に飛び込んでくるようになるのです。

私など、ここまできてようやく、モロッコにやってきた気分になるくらい。
けれどもなぜこんなに劇的に景色が変わるのだろう。
そんな私のつぶやきに答えてくれた人がありました。
いつの、どことの戦争だかは知らないけれど、マラケシュでは、こんなふうに言われているよとしてくれたのがこんなお話です。

マラケシュのヤシ林ができたわけ
その昔、マラケシュの街を手に入れるため、はるかサハラを越えてやってきた軍の大部隊が街を囲ったことがあったそうです。
モーリタニアからはるばる砂漠を越えてやってきた彼等はあまり多くの食料を持っているわけではなく、手軽に持ちはこびができ、栄養価も高いなつめやしの実が、大切な保存食の一つだったのでした。

軍を率いる将軍は、 夜の間に食べられたなつめやしの種が、そのままそうして駐屯地にちらばっていたのでは、いったいどのくらいの人数がどこにいたのかすぐにわかってしまうので、食べかすはきちんと地面の中にうめるようにと、兵士達に言い渡したそうです。

その時に、そうしてていねいに地面の中に埋めてもらったなつめやしの種がやがて芽を出し、マラケシュの街を囲むように生えるようになり、今のマラケシュの景色ができたのだと言われています。

余談ですが、こうして地中に種から植えられて大きくなったヤシの木は、いずれもオスの木になるのだそうで、この由来のために、マラケシュのヤシの木の多くはオスで、木の数のわりに、あまり多くのなつめやしの実が生産されないという事なのだそうです。(メスの木は、オスの木のまわりに生えたひこばえを育てる事でメスになるのだそうな)

こうしてマラケシュの街を彩ることとなったヤシの木々は、その歴史のシンボルとしてとても大切にされています。
市内の建物の高さは地上5階までに制限されていますが、これは建物がマラケシュのもう一つのシンボルであるクトゥビアと、なんとこの「ヤシの木」の高さを超えないようにと設定されたものだとか。

また、 街中にはえているヤシの木をむやみに伐採することは条例によって禁止されており、これに違反した人には10000DH(約13万円)の罰金と、さらに裁判で残りの刑も決められるという保護具合。これが原因で、街の中には道のド真ん中にヤシの木が生えていたりするので、夜間の走行など気をつけないと危険なのです。
家を建てるために買った土地にヤシの木が生えていた場合も、許されているのはあくまでも「移植」で、伐採は同様に禁止。
マラケシュの街の歴史の証人は、こんなふうにして守られています。
 
地名の意味 マラケシュ・名前の由来のむかしむかし

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