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アラブ人
そもそもモロッコはベルベル人の国でした。
そこにアラブ人がイスラームの教えとともにやってきたのは7世紀。
その時、そしてそれ以降モロッコにやってきてそこに定住するようになった近東からやってきた人々をアラブ系だとしているわけですが、それだけがアラブ系ではありません。
アラブ系の文化が栄えたのは主に北部なので、どうも北部の人々がアラブ系だと思いがちなのですが、南部モロッコには、かつて塩の交易で砂漠を行き来していたベドウィン系のアラブ人の末裔もくらしています。
ブラックアフリカ系住民
外見的に似ているとも思えるアラブとベルベルの他に、南部に多いのが黒人系の住民。
ちょっと色が浅めで、日本人がイメージする黒人とはちょっと違った感じの彼等は一説にはスーダンが起源だといわれ、モロッコの音楽のジャンルの一つ、グナワ音楽も、このスーダン系の人々によってモロッコにもたらされたといわれています。
肌の色のより強い黒人系の人々の中には、あきらかにマリやニジェールの方にくらしている人々と顔つきの特徴が似た人々もいます。ザゴラにある「トンブクトゥーまで53日」という看板にあるように、かつてはるかサハラを越えて金や塩を運んでいたのであろう人々の末裔なのだなぁと、サハラの長い交易の歴史をみつめる気分です。
一見みんな仲良くまざりあって暮らしているように思われる黒人系モロッコ人とその他のモロッコ人ですが、友達どうしの会話では、「まったくこの黒が!」みたいな発言が出ることも。
外国人としては一瞬焦りますが、モロッコ人同士では、冗談として、友達同士では深刻に受け止められることも少なく、お前はカオがデカイなぁとか、お前は色白すぎだなぁとか、そういった身体的特徴をふざけてからかううちの一つといった具合でほとんど問題なく、外国人の目からは、黒いからといって卑屈になっている人もほとんどいないのが気持ちのいいところです。
けれども実際は話が結婚となったりすると、黒人系とその他というカップルはなかなかすんなりとはいかないことも多いようです。黒人系の血がまざっている、というだけで結婚の話を白紙に戻してしまう、なんていうことも。
もっとも、これはベルベル人とアラブ人の結婚でも、お互いの家や血の意識の強い家族同士では問題にされる事ですから、皮膚の色というよりかは、やはりモロッコ人独特の自分の出自に対するこだわりゆえの問題なのかもしれません。
モロッコでも、何人系だからといって制度として差別されることはありませんが、生活の奥深くまでふみこんでいくと、そんな差別意識、人種どうしでの区別意識が働くことは、やはり世界中の他の国々と同じようにあるのでした。 |
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