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リッサニのスークが開かれる日、周りは砂漠のようなものなのに、こんなにたくさんどこから来るのか、街は見たこともないくらいたくさんのロバでいっぱい!その規模といったら、どこの村のスークでも、こんなにたくさんのロバは見たことがないくらい、町中がロバだらけといってもいいくらい。
そのロバの数に驚いていると、友達が、この街にいた賢者がこんな話を残したんだ、といって、一つの面白い話をしてくれました。
王様とロバのまち
むかしむかし、リッサニのスークはそのあまりのロバの数のため、警察によってロバでそこに立ち入ることが禁止されてしまったのでした。
遠くの村からやってきて、ロバに乗せてたくさんの荷物を運ばなければならない近隣の住民にとって、それは大変不便なことでした。
そんなある日。
この小さな田舎の街にも、ついに王様がやってくることになったのです。
王様がリッサニにやってきたその日、王様は住民達に聞きました。
「そもそも私の家族はこの街の出身だ。けれども王としてこの街を訪ねるのはこれが最初になる。すっかり遅くなってしまったが、どうだろう、その記念として何かこの街に贈り物をしたいのだが、何がいいだろう」
王様はなんでもいいから贈ってほしいものを言うように街の人に言いました。
そこで街の人たちは考えました。
リッサニはまだまだ小さいまちなので、家の数も足りない。
電気だってもっとほしいし、学校も、病院も、数が足りているわけじゃない。
お願いしたいこと、お願いしておけばいいだろう事はそれこそ山程あったのです。
けれども、街の人たちはこんなふうに答えました。
「王様、私達の街ではスークにロバで行くことが許されていません。どうか私達が、スークにロバで行くことをお許しください」
そう。彼等が一番に望んだのは、電気でも水でもなく、病院でも学校でもない、そんな小さなことだったのです。
王様はそんなことでいいならいくらでも、と、その場で警察署長を呼び、今後はスークにロバで立ち入ることを認めるようにいいわたすと、笑顔で帰っていったのでした。
その時から、リッサニのスークの日には、ものすごい数のロバが、再び街にあふれるようになりました…というお話です。
どんな立派な贈り物をされるより、自分達の生活に、本当に何が必要なのかということを忘れてはいけないよ、というこのお話。
実はこのお話は、どんなに自分の暮らしている街を離れても、そこに暮らす家族や同胞が何を必要としているか忘れてはいけないよ、という事を例えるために、2002年ごろに亡くなられた賢者が作った話なのだと言われています。 |
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