各地の絨毯の種類
【Ouedzem】
この街では、そもそもはジェラバに用いられる布を作っていたそうです。
ここで作られた絨毯は、土産屋などではそのまま「ウェッゼム」と呼ばれています。旅人なら一度は目にするであろう、俗にインベーダー模様、と呼ばれる絨毯がこれ。らくだやちょうちょなど、動物や人の絵が織り込まれているものがこれです。
お土産用に作られた絨毯で、そんなにたいしたことはないと思う方もいるかもしれませんが、これももともとはこの地域のオリジナルのもので、明るい色使いの楽しい絨毯なのです。
けれども、このOuedzemの街のすぐとなりにあるbejadという街が、ここの絨毯が売れていることに目をつけ、そこで作られた何の絵が描かれているのかさえよく分からない量産の粗悪品が出回るようになってから、すっかり価値が下がってしまい、丁寧に模様が織り込まれたこの街の作品は、現在ほとんど作られなくなってしまっている事から、逆に貴重品になってきているようです。
【Kilim】
これはキリムの絨毯だよ、として紹介されるこの絨毯は、時に制作者をトゥアレグだとか言われることがありますが、このタイプの主力生産地は北部のTifletという街、もしくはその近くのkhemissetという街。
現在の状況ではトゥアレグとはあまり関係ありません。毛織りの絨毯に比べて安価で、玄関マットくらいの大きさなら、150〜200DHくらいで買えたらかなりのお買い物上手でしょう。
よくこれはシルクだ、と言われたりするのですが、基本的にコットンで作られています。
【Hambel】
モワイヤンアトラス出身の絨毯。マラケシュ近郊でも同じ名前で呼ばれるものが作られているということですが、有名なのはモワイヤンアトラスのもの。
平織りで、キリムとして紹介され、これまたトゥアレグのお話がついてくることが多いものですが、実際はモロッコの山の中で作られているわけです。けれども昔はサハラを縦横無尽に行き交っていたベルベル人ですから、あながち嘘ともいいきれません。
このタイプはテントの下敷きとして、あるいは毛布のかわりに使われていたものです。
赤、黒、白がよく使われ、模様が織り込まれてはいますが、違う模様どうしでしましまなイメージになっています。いろいろなタイプがあるので、価格帯は不明。
【Taznakht】
土産屋でみかける絨毯の中で、もっとも「じゅうたん」という言葉に近いイメージのものがこれ。
このTaznakhtは、ワルザザード近郊の絨毯の生産地で一番有名な所で、 赤や黄色、黒、白、ブルーなど、多くの色が使われ、とても装飾的なのが特徴です。
タズナフト自身の特徴は、模様が一段作り込まれるたびに、おさえとして黄色の横糸が織り込まれているところ。そうやって丁寧に作られているところが特徴です。
値段は大きさによりまちまちですが、重量もあり、比較的高値。
【Akhnif】
タズナフトの範囲に入る、平織りの絨毯がこのアフニフ。そもそもは、タズナフト近郊のアンチ・アトラスの男性のマントのようなものに使われていた技術で、タズナフトの絨毯の中でも、グラウィと呼ばれる、起毛した部分と平織りの部分の混ざったタイプの絨毯の中で生きていました。
が、近年ではこの部分のみ取り出された形で復活し、おしゃれで安価な絨毯として流通しています。
日本の住宅にもなじみやすいし薄くて軽いので、自分用にお土産が欲しいと思ったらおすすめの絨毯です。玄関マットサイズで、300〜500DHくらいで手に入れられたらこれまたかなりのお買い物上手といったところです。
平織りの絨毯に、毛糸で刺繍がほどこしてあり、色もいろいろなパターンで作られています。
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